群馬大学医学部産科婦人科学教室

婦人科

Gynecology

婦人科

婦人科チームでは婦人科腫瘍(主に子宮頸癌、子宮体癌、卵巣癌などの悪性腫瘍)の精密検査、治療方法の選択、治療、治療後の経過観察を行う外来です。
患者さんの病状、体力など総合的に判断し、適した治療法(手術治療、化学療法、放射線治療など)を提示し、患者さんと共に治療方針を決定します、手術治療は入院が必要になりますが、外来担当医も入院治療の対応をしております。
治療後は合併症の併発や、再発の有無の確認のため定期的な通院をしていただき経過観察をしていきます。また、化学療法は当院には外来化学療法センターが併設されているため、外来通院にて施行することできます。
進行子宮頸癌の妊孕性温存術式である広汎性子宮頸部切除術や、実施に当たって施設基準のある腹腔鏡下子宮体癌手術・子宮頸癌手術も実施可能な体制が整っているため、手術適応があり希望される方へ行っていきます。具体的な手術適応の条件については、下記の「先進的な医療」をご覧ください。

子宮頸癌

婦人科悪性腫瘍の中では頻度の高い疾患ですが、検診により早期に発見することができる疾患でもあります。前癌状態から早期癌、進行癌まで、それぞれの進行期に応じた現在医療レベルでの最善の治療法を提供するように努めています。放射線科の先生方とも相談しながら、患者さんとの話し合いの中で、最適で満足の行く治療法を探すことが大切だと考えています。手術に際してはリンパ浮腫を引き起こさないような工夫や術後排尿障害が生じないような工夫をして患者さんのQOLを落とさない治療に努めています。
 上皮内癌や1a期はほぼ100%治癒しています。扁平上皮癌だけでなく最近増加しつつある腺癌や腺扁平上皮癌など予後不良なものまで含めると、1b1期の予後はリンパ節転移の有無や組織型、年齢によって大きく異なりますが、96%の5年生存率です。1b2期では76%、2a期78%、2b期57%です。3a期以上は放射線科の治療になります。

子宮体癌

2011年度の当院で新規に治療した子宮体癌患者数は48人で、ほぼ同様の患者数で推移しています。2001年から2006年まで治療した患者の5年の無病生存率をみてみますと、1期 97.4%、2期 75%、3期 62.5%、4期 30%でした。また担癌状態も含めた5年生存率を調べてみますと、1期 100%、2期 87.5%、3期 87.5%、4期 30%で、日本産科婦人科学会の統計結果と同様でした。子宮体癌の治療では、患者の同意と全身状態が許すならば、手術療法が第一選択となります。子宮を全摘出するのは当然のことですが、骨盤部・傍大動脈リンパ節を摘出することについては、現時点ではコンセンサスは得られていません。
リンパ節の摘出に関しては本邦では積極的な意見が多く、一方、欧米では否定的な意見が散見されます。当院ではこれまでの治療結果から、初期の子宮体癌の場合、傍大動脈リンパ節の切除を省略して術後合併症の発現を抑制しつつ治療結果を保つ試みを行っています。

卵巣癌

卵巣癌は通常の検診では見つかりにくく、発見された時には進行癌となっていることが多い疾患です。しかし、固形癌のなかでは比較的良く抗癌剤治療(化学療法といいます)に反応する癌の一つでもあります。様々な組織型が存在する卵巣癌治療に当たっては、それぞれの組織型に生物学的特性(リンパ節転移が比較的早期から起こるタイプや抗癌剤が非常に良く効くタイプなど)によって、治療法も変えて行かなければ患者さんが被る不利益ばかりが多くなってしまいます。苦しくない化学療法をめざし、手術療法と組み合わせた最適な治療法を患者さんと相談しながら行っています。
外来化学療法なども取り入れ、仕事を続けながら癌を治すこともできるようになってきています。
上皮性卵巣癌の全組織型を合わせた予後について示しますと、I期89%、II期70%、III期28%、IV期18%です。

先進的な医療

・広汎性子宮頸部摘出手術
早期の子宮頸癌においては標準治療として子宮を摘出する手術が推奨されておりますが、この場合子宮を摘出してしまうため、妊娠する能力(妊孕性)は失われてしまいます。
年齢が若い方では妊孕性の温存を行うために、子宮頸部を広範囲に摘出して子宮体部を残し、残った子宮体部と腟を縫合する「広汎子宮頸部全摘出術」という手術が選択肢としてあげられます。これを行うことで子宮が温存できるため妊孕性の温存が可能となります。
しかし子宮が残ってしまうことから再発のリスクもあるため、手術が適応になる患者さんは以下の通りになります。
手術適応条件:
①20-45歳で妊孕性の温存希望がある方
②病気の臨床進行期がⅠB1、ⅡB1期であること
③子宮頸部の病気の腫瘍径が2cm以下
④子宮体部と腫瘍に十分距離があること(10mm以上)などがあります。希望がある方は、担当の先生から紹介状をいただいた上で受診してください。

・腹腔鏡下子宮体癌手術、子宮頸癌手術
早期の子宮体癌、子宮頸癌においては子宮、両側卵巣、骨盤内リンパ節を摘出する手術が推奨されておりますが、以前は開腹にて上記の手術を行っておりました。最近は患者さんへの身体的な侵襲をできる限り減らす低侵襲手術が全国的に導入されており、子宮体癌の手術においても腹腔鏡による手術が導入されております。これは5~12mm程度の傷を数か所開けて、そこからカメラおよび鉗子を挿入し、上記手術を行っていく方法です。傷が小さいため、患者さんの身体的負担は軽くなります。当院でも腹腔鏡手術を行う体制が整っており、今後希望される患者さんで適応がある方には腹腔鏡手術を行っていきます。手術適応条件は以下の通りになります。
子宮体癌手術適応:
①組織型が類内膜腺癌(悪性度1,2)
②臨床進行期がⅠA期子宮頸癌手術適応:①臨床進行期がⅠB1もしくはⅡA1期希望がある方は、担当の先生から紹介状をいただいた上で受診してください。

子宮頸癌
円錐切除術 46例
単純子宮全摘出術 7例
準広汎子宮全摘出術 2例
広汎子宮全摘出術 9例
子宮体癌
単純子宮全摘出術 49例
準広汎子宮全摘出術 10例
卵巣癌
悪性卵巣腫瘍手術 45例

治療成績・予後

子宮頸癌

婦人科悪性腫瘍の中では頻度の高い疾患ですが、検診により早期に発見することができる疾患でもあります。前癌状態から早期癌、進行癌まで、それぞれの進行期に応じた現在医療レベルでの最善の治療法を提供するように努めています。放射線科の先生方とも相談しながら、患者さんとの話し合いの中で、最適で満足の行く治療法を探すことが大切だと考えています。手術に際してはリンパ浮腫を引き起こさないような工夫や術後排尿障害が生じないような工夫をして患者さんのQOLを落とさない治療に努めています。  上皮内癌や1a期はほぼ100%治癒しています。扁平上皮癌だけでなく最近増加しつつある腺癌や腺扁平上皮癌など予後不良なものまで含めると、1b1期の予後はリンパ節転移の有無や組織型、年齢によって大きく異なりますが、96%の5年生存率です。
1b2期では76%、2a期78%、2b期57%です。3a期以上は放射線科の治療になります。

子宮体癌

2011年度の当院で新規に治療した子宮体癌患者数は48人で、ほぼ同様の患者数で推移しています。2001年から2006年まで治療した患者の5年の無病生存率をみてみますと、1期 97.4%、2期 75%、3期 62.5%、4期 30%でした。
また担癌状態も含めた5年生存率を調べてみますと、1期 100%、2期 87.5%、3期 87.5%、4期 30%で、日本産科婦人科学会の統計結果と同様でした。子宮体癌の治療では、患者の同意と全身状態が許すならば、手術療法が第一選択となります。
子宮を全摘出するのは当然のことですが、骨盤部・傍大動脈リンパ節を摘出することについては、現時点ではコンセンサスは得られていません。リンパ節の摘出に関しては本邦では積極的な意見が多く、一方、欧米では否定的な意見が散見されます。
当院ではこれまでの治療結果から、初期の子宮体癌の場合、傍大動脈リンパ節の切除を省略して術後合併症の発現を抑制しつつ治療結果を保つ試みを行っています。

卵巣癌

卵巣癌は通常の検診では見つかりにくく、発見された時には進行癌となっていることが多い疾患です。しかし、固形癌のなかでは比較的良く抗癌剤治療(化学療法といいます)に反応する癌の一つでもあります。様々な組織型が存在する卵巣癌治療に当たっては、それぞれの組織型に生物学的特性(リンパ節転移が比較的早期から起こるタイプや抗癌剤が非常に良く効くタイプなど)によって、治療法も変えて行かなければ患者さんが被る不利益ばかりが多くなってしまいます。苦しくない化学療法をめざし、手術療法と組み合わせた最適な治療法を患者さんと相談しながら行っています。外来化学療法なども取り入れ、仕事を続けながら癌を治すこともできるようになってきています。
上皮性卵巣癌の全組織型を合わせた予後について示しますと、I期89%、II期70%、III期28%、IV期18%です。