研究紹介
Introduction of research
群馬大学産科婦人科学教室での研究
子宮内膜症/卵巣癌
子宮内膜症は増加傾向にある婦人科疾患であり、疼痛によるQOLの低下、不妊症、周産期リスクの増大、卵巣子宮内膜症性嚢胞からの卵巣癌の発生などをもたらす産婦人科全般に関わる最重要疾患のひとつです。
そのため世界中で婦人科領域の主要な研究テーマとなっており、新規治療薬の開発も多数行われています。
群馬大学産科婦人科学教室では、子宮内膜症発症機序の解明・新規治療ターゲットの同定などの基礎研究、子宮内膜症治療最適化・周産期リスク予測などの臨床研究を並行して進めています。
子宮内膜症は月経血が逆流しその中に含まれる子宮 内膜細胞が、卵巣などに生着し生じると考えられています。臨床検体から分離した子宮内膜症細胞や内膜症モデルマウスを用いた基礎実験を遂行中です。内膜症と子宮腺筋症との関連にも注目しています。
卵巣機能低下を最小限にとどめる卵巣子宮内膜症性嚢胞(左)手術、深部内膜症(右)の安全かつ効果的な手術についてハイレベルな診療を行うとともに治療効果や周産期リスクとの関連を検討する臨床研究を実施しています。
卵巣子宮内膜症性嚢胞は0.7-0.8%の頻度で卵巣癌が発生することが知られています。
子宮内膜症からの発癌機序の解明のため、臨床検体から抽出したRNA,ゲノムDNAを用いたオミクス解析を実施しています。ほか卵巣癌全般に対する研究も行っています。
生殖内分泌/周産期領域
群馬大学は伝統的に内分泌領域の研究がさかんであり、不妊症や周産期合併症のリスク因子となる内分泌疾患合併患者が多いという特徴があります。自己免疫性甲状腺疾患、妊娠糖尿病を中心として、これらの疾患が卵巣機能や妊娠・分娩に及ぼす影響についての基礎・臨床研究を行っています。
甲状腺自己抗体を保有する卵巣機能不全患者血清中に見出した新規自己抗体とその抗原タンパクに着目し、自己免疫の関与する卵巣機能不全や流産の病態解明と早期診断法確立のための基礎・臨床研究を行っています。
糖尿病合併妊娠、妊娠糖尿病における周産期合併症リスクとヘパトサイトカインの関連を調べる臨床研究を行っています。
妊娠中のへパトサイトカイン濃度の変化を調べるとともに、母体および胎児への影響を解析しています。
論文業績
2018年~2021年途中までの論文を掲載しています。