群馬県版病院前周産期救急勉強会の実施報告
blog
群馬県内の消防職員を対象に、群馬県版病院前周産期救急勉強会を1月6日・7日に群馬大学医学部附属病院で開催しました。
この事業は昨年に引き続き第2回目の開催で、群馬大学の令和5年度地域貢献事業の一環として行いました。
1月1日に能登半島震災があり、受講者・講師の皆様が災害救助活動に出動するなど緊急状態となりましたが、多くの方々にご協力を頂き、無事終えることが出来ました。
本勉強会は、事例数が少なく救命処置に難渋する病院前周産期救急症例に対して、消防職員が適切かつ安全な活動ができることを目的で実施しております。
勉強会の内容は、講義とシミュレーションを含むワークで構成されています。まず、群馬県の救急・周産期における概要について講義し、その後、救急要請(現場到着までの対応)、現場活動(分娩介助、異常分娩、弛緩出血への対応)、搬送先選定(県内の周産期・救急事情に即した対応)について、実際の活動の流れを意識して実技と訓練を行いました。午後は、新生児蘇生法病院前コース(NCPR Pコース)を開催しました。NCPR Pコースとは、病院前で出生した新生児に対する蘇生処置を学ぶコースで、消防職員は新生児のモデル人形を使い実際の蘇生処置を行いました。最後には救急車内を想定し、母児同時に救急対応が必要になる事例も体験してもらいました。
産婦人科医だけでなく、助産師、看護師、小児科医、救急医、救急救命士といったあらゆる診療科や職種が講師陣として参加し、様々な視点からディスカッションを行うことが出来ました。受講生からも勉強になった、日頃疑問に思っている点が解消されたという声が聞かれました。
施設外分娩への対応や妊婦の搬送などは、群馬県の周産期事情から今後増加することが予測されますが、それだけでなく、災害や病院の緊急事態などがいつ発生するかはわかりません。そのためにも今後も継続的に勉強会を開催し、群馬県の周産期医療に貢献していきたいと思います。
田中 亜由子・日下田 大輔