ロボット支援手術の導入について
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低侵襲手術である腹腔鏡手術は,近年ロボット支援手術へと発展してきています。手術支援ロボットは2000年代初めにアメリカで行われるようになり、婦人科領域から普及が進みました。本邦では2012年に前立腺癌に対するロボット支援手術が保険収載されたため、泌尿器科での普及が先行してきたのが現状です。2018年の診療報酬改定で新たに12の術式についてロボット支援手術が承認され、ようやく婦人科領域においても広くロボット支援下手術が行われるようになりました。この流れを受け、当科では2019年10月にダヴィンチSiによるロボット支援下の子宮全摘術を導入しました。
ロボット支援手術は鉗子可動性が高く、手ぶれ補正機能が備わっており、3Dカメラによる拡大視が可能であることから極めて繊細な手術操作を行うことができます。特に骨盤底の血管や神経が入り組む領域において優位性を発揮するとされており、従来の低侵襲手術と比較して術中出血量の減少や術後疼痛の低減に寄与することが示されています。直感的に操作できることから、早く技術を習得できることも大きな利点と考えられています。
導入期の安全性を担保するため、初回手術の前に複数回のシミュレーションを実施し、初回手術時には院外から指導医を招聘いたしました。現在は定期的に手術を実施しており、重篤な手術関連合併症は生じていません。途上ではありますが、初期については安全な導入を達成できていると考えています。現時点で実施しているのは良性子宮疾患に対する子宮全摘術ですが、今後子宮体がんに対する子宮悪性腫瘍手術をロボット支援下に実施できるよう準備を進めています。多くの患者さんに侵襲の少ない治療を安全に提供できるよう努めていきたいと思います。
daVinci Si
医師がロボットを遠隔操作します